新刊書紹介『ここにも激しく躍動する生きた心臓がある』

トンドゥプジャ著『ここにも激しく躍動する生きた心臓がある』チベット文学研究会編訳(星泉・大川謙作・海老原志穂・三浦順子)

東京外大の星先生を中心にチベット現代文学を愛好するチベット文学研究会のメンバーが、本格的な現代チベット文学書を翻訳出版しました。快挙です。

ここにも激しく躍動する生きた心臓がある

ハーンがチベット語を勉強し始めた頃に懸命に読んだものは何だったか分かりますか?蔵語版の『毛沢東語録』だったのですよ。それと日本語版の毛語録を横に並べて対照させて少しずつ読んでいました。

別に彼の思想が好きだった訳ではけっしてなくて、それくらいしか現代チベット語で書かれた本が日本で手に入らなかったのです。

さて、還暦過ぎた年寄りの「昔は大変だった」ばなしは措いといて、日本のチベット学も着実にしっかりとした歩みを進めています。文化の総体としてチベットを捉えるためには「文学」も不可欠の要素です。この本を一度、各自が持っている特定分野への感心を全部一度捨てて読んで下さい。

つまり仏教を抜きにしてチベットは無いと思っている人も、人権問題がチベットを考える場合の先決だと思っている人も、チベットは神秘の国だと思っているオカルトファンも、そんな風な何かをお勉強しようと思う心を全部無しにして、心を白紙にして読んでみて下さい。

チベット人が積み上げてきた文化は、何かで色付けして見なければ捉えられないような、そんな薄っぺらなものではないのです。

あれ?済みません。何だか嬉しくなって力説してしまいましたが、一人でも多くの日本人がこの本を手に取って読んで頂けるように願っています。