楊海英 Yang Haiying(静岡大学教授)著『チベットに舞う日本刀 — モンゴル騎兵の現代史』文芸春秋/2014年11月刊/1850円+税
本書は、日本の陸軍士官学校で学んだモンゴル騎兵が、1958年、中国共産党の傭兵となって青海チベットに侵攻していく記録を沢山の写真と共に描いています。
もちろん進んで志願した訳ではなく、「チベットに入って叛乱を平定せよ」との党からの命令に従わざるを得なかったのです。
日本から学んだ優れた騎兵術や軍事戦略を使ってめざましい働きをしたモンゴル騎兵たちは、しかしサムライであるが故に、そして同じチベット仏教を信仰する人間であるがゆえに、現地で漢人たちとしばしば衝突します。
そしてその軍功は記録されず、毛沢東によって粛清されていくのです。
知らなかった。知りませんでした。いっぱい考えさせられる本でした。
楊海英さんとはいろんな研究会や学会でご一緒させていただく仲ですが、インタヴューや写真を駆使して叙述していく彼の手法は見事なものです。
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