ダヤンウルスの御意見番、枚方の三好孝さんが、日本に住むチベット人のノルブ(仮名)とその奥様(日本人)のモモエ(仮名)そして彼等の長男クリリン(もちろん仮名)の里帰りにくっ付いて、インドに行かれました。その旅行記が面白い!さあ、いっしょに楽しみましょう。
2月4日、日曜日。モモエの言葉に甘えて10時半まで寝る。
トイレをし、洗面しているとドアをノックする音がする。モモエが朝食兼昼食を誘いに来た。下の食堂に行くとチャンバ・トントゥがクリリンの相手をしながら待っている。「ノルブは?」と聞くと、「もう、遊びに行っておりよらん」、モモエが三重県弁で答える。
さらに聞けば、「お父っつぁんとは2時まで、ロセリン(ゲストハウス)の連中とは今朝の5時まで、はしゃいでいた」と、言う。そして「うち、へとへとに疲れよったから、もう2時半には寝よったんよ。そいで9時半ちょっと前に起きよった時は、もうおらんかったんよぉ」と、モモエが困惑顔で言う。まるで草原に解き放されたヤクのような「極楽とんぼのアンちゃんだ」、と思いながら、メニューを見る。
「?」「??」「? ? ?」
Steam とかFryとかSoup にDrink、おおまかな項目は読めるが、その先の細目が解らない。かといってかわった物?を注文して、早々と腹を壊しては「せっかくインドにきた甲斐がない」というものだ。ここは無難な物を注文することにしょう。
ブレックファストとしては、まぁ定番のパンとエッグとブラックティを頼む。モモエはモモ(mog-mog )とトゥッパ(thug-pa)の二種類をたのんだようだ。
チャンバお前も何か頼め、言葉がうまく出ないから、メニューを渡して「チャンバ、オーダー」と言う。しかし、チャンバは「NO」と答える。遠慮しているんだぁと思い、モモエを通じて「注文しろ」と言う。だがチャンバは、まだモソモソっとするばかりで、まったく男らしくない。
むうー、これは、ひよっとしたら、オーダーしたものは自分が支払いせねばならない、という欧米流の割り勘感覚か。それとも単なるチベット人の変な引っ込み思案の風習か。それならば、とモモエに「ガイド料という名目で、幾許か渡してあるので気にするな。足りなかったら2000$と15万7000円あるからと言え」と、通訳させると。本当に遠慮の塊のように、「コーラー」を注文する。
そんなこんな、しているうちに料理が出てきた。
げぇ、これはなんだぁ!直径20cm、厚み2cmの得体の知れない円盤状のものが、眼の前に現れた。
うぅ〜ん、ホットケーキならば膨らんでいる筈だが。これは小麦粉を捏ね、ただ単に円形状にして、申し訳ない程度に、加工しただけのものだ。焦げ跡がないから焼いた様子はない、蒸したものなら、それなりの形体で仕上がっている筈だ。これは何だぁ!?
「三好さん、これはパレ(bag-leg)といって、これがこの辺?ではパンなんですよ」
えぇーこれがぁ?パァ〜ンだと!認められんなぁー。
私は決して高級なホテル用のパンを注文したつもりはない。一般の、そこここにあるヤマザキか不二パンでいいんだよ。全然、まったく膨らんでないじゃないか!これが、パンか?フランスパンやドイツの黒バンだって、外見は固いが、中はふっくら、としているではないか。インドには、いやチベットには膨らし粉がないのか。いやいや、イースト菌だ。あれは天然の酵母で、原材料の酵母菌を、極々少量でも冷蔵庫にでも残しておけば、嫌が負うでも増殖し続けるモノだ。ヒマラヤなんて「天然の冷蔵庫だぁ」
うぅ〜ん仕方がないなぁ、バーターとジャムは、えぇのんをくれよ。おいおい、料理用の角型を包丁で切って持ってくるなんて、ジャムも瓶ごと持ってきて、——どんと置くなぁよ。
おぉ〜い、これがベェコーンエッグかい?これは?What is あ this ?だぁ。おぉ〜い、ほいほいほい、これまた、どうじゃろかいなぁ、これがティ?ジス イズ ブラックティ?でっか。どう見ても紅茶の出がらしにしか見えませんが。私はブラックのお茶、コーヒーだと思ってオーダーしたんだ。(思ったほうが悪いと言われればそのとおりだが)笑うな、モモエ。どうりでメニューの中にcoffee の文字がなかった。ふーん、インドはコーヒーのない国か?そんなことはないだろう。
けどモモエさま、あんたのモモ、豚饅の様に大きいのぉ。しかも5ケもある。えーぇ、それにそのモモ、「ミックス・モモ」というけれども、ビッグス・太モモの間違いじゃないかい?それにそのトウッパ、ちょっと煮すぎていないか?野菜類はドロドロだし、そして無造作に投げ込んだ幅太きしめんの千切ったものは、なぁに?量も多いし、2人前じゃないの。チャンバやクリリンの分も入ってんのー?ええぇー?それで一人前?うぅ〜ん、唸りますなぁ。これで一人前でっか。
———わぁ〜、クリリン!手掴みはイカンわぁ!バラバラや、もう喰われへんで、これは。おい、モモエ、笑ってないで、なんとかしろ。
ほんまに父親不在、母親現状無視、これからの道中、思いやられますわぁ〜。
