「第10回国際チベット学会」報告

9月6日から12日までの7日間、イギリスのオックスフォードにあるSt. Hugh’s collegeという所で開催された第10回国際チベット学会に参加して発表を行なってきました。

会場外観
異様集団

会場はイギリスらしい落ち着いた造りの建物が公園のようなキャンパスを囲んでいるとっても綺麗な所で、そこに突然異様な格好をした集団が現れたという感じでした。

なにしろチベット人やブータン人が民族衣装のままでいたり、だいたいハーンを含めて世界中のチベットおたくというのは変人の固まりみたいなものですからとっても変。

今回は発表者だけで250人を越すとても大規模な学会となりました。回を追うごとに中国チベットからの参加者が多くなって来ました。

今回も大量の人が来てましたが、発表とは関係なさそうな人物も沢山いて、その人たちちょっと騒々しい。来るのはいいけど静かにして。

ところが漢人は少なくなっているのです。何故なんでしょうか?理由は分りません。

ブータンからの参加者

今回はブータンからの参加者が多くなり、ブータン関係の発表も充実していました。

日本からの参加は、京都大学の御牧先生、筑波大からは小野先生と吉水先生、種智院の石田先生、神戸市外大の武内先生等々全部は書き切れませんが、京大史学の岩尾さんや言語学畑の新進の研究者達も参加してそれぞれ頑張ってました。

フランスからは今枝先生もお越しになってました。

そうそう忘れてはならない、マンダラの田中公明先生、今回は大英博物館でのハンビッツコレクションの展覧会で大忙し。何度もロンドンとの間を行ったり来たり甲高い声をとどろかせながら走り回ってました。いつも思うのですが、公明さんはウエイマン先生と声のトーンがすごく似てるのです。

谷大のツルチム先生も内外のチベット人に囲まれて楽しそうでした。我々にとっては謎の人物、飯田泰也さんという方とはじめて話しをしました。謎は最後まで全部は晴れませんでしたが、ネパール経験も長いらしく西蔵大学にもいたという英語チベット語を器用に操る人。要注意人物です。

さあて、皆さんはここに並んでいるチベット学の大御所を幾人ご存じでしょうか?いずれも超有名な学者です。

大御所たち

ちなみに、インディアナ大学のエリオットスペリング教授のはげ頭に隠れているのはハンブルグ大学のジャクソン教授。ピンクのジャケットで完全に後ろ向きなのはフランスのブータン学者ポマレ博士です。

ハーンの研究発表は、前回のライデン大学での学会に引き続き、デウマルゲシェという絵画理論家が著した『クンセルツン』という本に説明されている色材の混合手順に関する発表でした。

今回は特に2種類のブラウンとそれから作られる様々な色に関してのものでした。

「はいいろ」と言うと日本語では「灰色」ですが、チベットでは薄い小豆色の色を「肺色」という色名でよびます。紫がかったブラウンの一種に「肝臓色」というのもあって、あまり趣味の良い色名ではないことは確かです。そうそう「屍体色」というのまであります。気持ちわる!

トゥプテンニンマ(土登尼瑪)師とハーン

滞在中、懐かしい人物に会いました。

うす汚い(失礼!)チベット人が話し掛けてくるので話しを聞いてみると、もう何年前でしょう18年程経ってると思うのですが、京都で日本と中国の学者が集まって仏教関係の学会が開かれた折にハーンが通訳をしたトゥプテンニンマ(土登尼瑪)さんではないですか。

蔵漢大辞典の中の仏教に関する項目の多くはこのニンマさんが執筆したのです。

聞くとしばらくアメリカに居てその後にロンドンに移り住んでいるとのこと。懐かしい懐かしい。けど両者とも歳とった。

ブータンの部会に一番多くの時間居たのですが、興味深い発表がいっぱいありました。

クンサンチューデン女史 王堯先生健在

今枝先生と一緒に京都にも来て谷大で講演もしたクンサンチューデン女史がブータンの正月行事について詳しく紹介をされていたのを楽しく拝聴。

前会長のサムテンカルメー先生もブータンのオゲンチュ−リン僧院に所蔵されている貴重な写本コレクションについて発表されてました。

かたや歴史の部会では、北京の王堯先生は75歳になったと言ってましたが、いまだ健在。吐蕃時代のドリン(石柱碑文)についての発表にはさすがに座りきれない程の聴衆でした。

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