北京の紫禁城にある故宮文化資産数字化応用研究所ですすめられているデジタル化の進み具合を調査するために北京に行って来ました。

この研究所は故宮に保存されている文物のデジタルデータの蓄積と紫禁城の中にある建造物のデジタルアーカイブという二種の目的を持って設立された研究施設です。
故宮の景観を損ねないように研究所の外観はごらんのように古風に作られています。
研究所は紫禁城内の大和殿西方の内塀と外塀の間に位置する場所(非公開エリア)にあります。
古風な外観とは全く違って内部は最新のVRシアターが設置されていて、継ぎ目の全く無いデカイ高精細VRスクリーンでびっくりです。
現在着々と進められている所蔵文物のデータベースも様々な検索が可能なものでこれが完成すれば研究者には有り難い武器になりそうです。

建造物のデジタルアーカイブ化は日本の凸版印刷株式会社が全面的に協力して制作されているもので、かなり面白いものです。
実際の建造物には立入り禁止の冊や鳩避けの金網や防火設備や避難の指示のために様々なものが付加されていますが、デジタル化に際してそれらはデータから除外され、色も元の色合いや彩りが再現されます。

何かよく分らない写真ですが、これはVRシアターで再現されているデジタルデータをコンピューターゲームのように手元のコントローラーで自由に視点を変えることが出来る装置の実演を見ているハーンの後ろ姿です。圧倒されます。
デジタルデータですので屋根の上からも、もっと上空からも眺められるし、皇帝の玉座の上の天井から眺め下ろすこと(本当だったら不敬罪ですね)も出来ます。
ただスピードを付けてパーンすると目が回りそうです。
この技術も明らかにゲームソフトの技術が蓄積されている結果です。

研究所のVRシアターで大和殿のデジタル化されたアーカイブを見た後、本物と見比べようということで、実物を観に行く事になりました。現在いたるところで修復が行なわれています。
公開され観光できる場所が広大なのでそれが全貌かと思いがちですが、今回非公開の所を歩いてみて紫禁城全体の広さに驚きました。
東の方には博物館などの施設があり公開地域も多いのですが、西にほうには警察や軍隊などの基地、外交文書の保存館など公的機関も多くて現在も城としての機能があるのだということを知りました。
紫禁城はやっぱり格好いい。思わず見蕩れてしまいます。
ここを舞台に明や清の王朝がユーラシアの政治をリードしていた古えのときを思わずにはいられません。
元の頃には北京は大都(だいと)という地名だったのです。その姿がどの様なものだったのかは正確には分かっていませんが、規模はかなりのものであったようです。
その頃に作られた運河や人工湖の一部は現在でも残っています。けど紫禁城の建造物も老朽化が進んでいます。このデジタルアーカイブのプロジェクトが成功すれば実物の修復にもよい影響があらわれそうです。

ハーンは今までに何度も紫禁城を見学に訪れていますが、今回はその本殿である大和殿の中に入れるということで大興奮。映画の「ラストエンペラー」を観てから一度大和殿の玉座に座ってみたい、と思い続けて来ました。
今回も当然さすがにそこに座ることは実現出来ませんでしたが、けど、ずいぶんと近くまで接近出来ました。
次回は公開時間外に何とか入れてくれないかな。座りたい。

故宮文化資産数字化応用研究所の外観も古風に作られていましたが、裏手のほうのスターバックスコーヒーもなかなかよいデザインの店でした。
北京の人のセンスも以前とはくらべものにならない程モダンになってきています。つまり伝統の良さに気付いたモダンです。
今回空いた時間を利用して胡同(ほとん=昔ながらの横町)めぐり人力車に乗ったのですが、京都の町家保存会のような組織が出来ていて面白かったです。

紫禁城北出口の近所にある土産物売り場の一角で、清朝最後の皇帝(ラストエンペラー)の愛新覚羅薄儀の甥にあたるという人物で、書家をしている義明さんという人が書を軸にして売っていました。
御本人は何も喋らず助手の人が「先生は一切報酬なしですべて紫禁城の修復に寄付されます」と言いながらセールスしてました。
ちょっと寂しい感じがしたけど、紫禁城フリークのハーンとしてはちゃんと買いましたよ。
「ほんとにこんなの頼んで怒られないかなあ」と思いながら、ラストエンペラーズネピュ−の義明さんに書いてもらった文句は、「大元王」つまり「ダヤンハーン」という文句です。
ラストエンペラーズネピュ−は一瞬けげんな顔をしましたが、三字とも目出度い字なので書いてくれました。横のセールス担当の助手が「福寿とかの方がいいんじゃないですか?」と言ったのですが、押しきりました。
