ウランバートルのガンダン僧院に付属するモンゴル仏教芸術研究所 (Mongolian Institute of Buddhist Art) を訪問して所長のプルバト師 (Ven. Lama Purevbat) と面談して来ました。


プルバト師はチベット語も堪能で、チベット語で会話することが出来てハーンはらくちんでした。
師はモンゴル国立芸術大学を主席で卒業した後、出家しガンダン僧院付属仏教大学を卒業、そしてインド等への調査と研修の後に1993年に帰国。ガンダン僧院付属仏教大学の仏教芸術コースを創設しました。
研究所はガンダン僧院の敷地の中にあって、学生達のほとんどは同じく僧院敷地内にあるガンダン僧院付属仏教大学(仏教芸術コースは予科と本科6年制の学部教育)の卒業生、つまりこの研究所は仏教芸術専攻の大学院に位置付けられる組織なのです。
専攻は絵画・塑像・木彫等あらゆる仏教芸術の分野に渉ります。
ハーンが研究所を訪問した時は、ちょうど立体マンダラの制作が指導されていました。
数十人所属する学生さん達は、一応仏教の基礎的な知識を持ち入学してきますが、プルバト師は独特な教授法を採ります。
5年の間は徹底的に動物を描くことのみを訓練し、仏菩薩の尊像は描かせないとのことです。

モンゴルの仏画の特徴のひとつがランドスケープに点在する馬などの動物描写ですが、目的はその訓練ではなく、仏菩薩の脱俗性を十分に会得させる為なのだそうです。
煩悩に素直な動物達を描く訓練を続けながら学生達は煩悩を滅却した仏陀の尊様描写の精神的訓練を受けるのです。

プルバト師のアトリエには山と積まれた文献が蒐集されていました。それらはすべてタントラの儀規書類で、尊様の研究の為には必須のものです。
また、彼は長年かかって動物を描く為のティクツァを集めており、これはチベット絵画ではそれほど重視されない分野であり、モンゴル仏画独特の貴重な資料だと思われます。
話をしていて感じたのは、彼が教育したいのは技術ではなく仏教そのものだということです。
仏画を描くこと自体が仏道修行なのだから、と何度も強調していました。
1年ぶりのガンダン僧院参拝でした。以前よりお参りの人の数は増えて来たように思えます。

今回はガンダン僧院の他にもマンスール僧院跡(ウランバートルから南に60キロほどの所)も訪問しましたが、そちらは社会主義時代の爪痕深く残念な姿です。早く復興出来るように祈ってます。
一般の人々の仏教に対する感情はだんだんとよい方向に動いていますが、ソビエトの影響下で育った一世代がまだ年長者にいるのでなかなかおもうように行きません。
もうひとつの課題はチベット系仏教ですので中国との関係も微妙でこれもドライブがかからない一つの原因です。
