「ミヨッさんのダラムサーラずっこけ探訪記2」(三好孝さん)

ダヤンウルスの御意見番、枚方の三好孝さんが、日本に住むチベット人のノルブ(仮名)とその奥様(日本人)のモモエ(仮名)そして彼等の長男クリリン(もちろん仮名)の里帰りにくっ付いて、インドに行かれました。その旅行記が面白い!さあ、いっしょに楽しみましょう。


「こちらの方はドルジェ・イングンさん。今日から我々が宿泊する Loseling House のマネージャです。」と、モモエから紹介を受けたのは、あのヤバい雰囲気が漂う空港の敷地を完全に離れてからの事である。

勿論、私は「Tashi delek, ngay ming-la TAKASHI MIYOSHI zi-gi yo」(少々東北訛りのチベット語らしいが、俺はこうノルブから習った)と答えた。「Chaa-phe nang, —-」ドルジェが、「ようこそ、ノルブモモエの友だちなら大歓迎します」と言っている?らしいが、かなり早口だ。語学教室でノルブと話しているよりも、ずっとずっと早口だ。

こんな調子で話し掛けられたら、ちょっとヤバいぞ。一抹の不安がよぎる。〜〜まあいいか。ノルブモモエも横に居て通訳してくれるということだし。う〜ん、だがしかし、明日から「SAY IT IN TIBETAN」(語学教室で使っている教科書)の学習して来たところだけでも、復習しよう。そんな私の不安をよそに、ノルブとドルジェの会話は途切れることもなく、ずっと続く。二人は旧知の親友らしい。私のことなどはもうどうでも良いらしい。まあそれもよかろう。

しかしながら道は悪い。一応舗装らしきものはしているが、淀川の堤防下の未舗装の道よりまだひどい。それにしても、凄い砂埃だ。用意してきた防塵マスクを早速、装着する事にする。

その時である!「あった!」モモエの素っ頓狂な声が響いた。

両替えするときにパクられたはずの20$紙幣が、封筒の底から幾重にも折れ曲がった状態で出てきた。

馬鹿ったれ!一同大爆笑。事情を知らないドルジェも、オコウ(おしゃぶり)のクリリンもつられて笑う。

笑いが出た瞬間から雰囲気が変わり、余裕が出てきた。

ふと見ると、この迎えの車、おぉー、30年から40年前に日本でも走っていたあのヒールマンではないか。クラシックカーマニア垂涎の車だ。こんな所に、まだ走っていたとは。

あれー、右も左も両方ともドアミラーを閉めたまま走っているではないか。メーターも故障しているらしい。そのスピードたるやすさまじい。

そして通行区分帯を無視し、方向指示器も出ない。その秩序なき無軌道な行動は、まるで風神雷神の到来のごとしなり。

これがインドでは昼夜関係なく進行するのである。信号がない!信号は市内のメインストリートだけ、交通整理のお巡りさんが出るのは、管轄の警察署の気の向いた時だけ。これ以後の旅は、日々毎日がこのような出来事の連続。「これがインドだ。これがインド流なのだ。」

おぉー、見よ!早速「これがインド」が現れた。

反対車線が、20キロの渋滞だ。盆暮れの日本の高速道路のようだ。

・・・いや違う。

日本時間26:47分、インド時間で23:17分、これは渋滞ではない。完全なる停車。時間待ちの大停車?(こんな言葉があるかどうか知らないが)なのだ。

インドでは大型トラックは時間制限があって、24時まではデリーの市街地には進入してはならないのである。そして大型トラックと大型トラックの間に、可哀想にサンドイッチになった乗用車も、同じ運命共同体になる。

だがこの際、対向車線などはどうでもいい。私は、一週間前に横転事故を起こしたというこの車の運命を案じる。

メーターの針は80キロを指し示しているが、じっと見てると、なにー!針は止まったまま動作していないのだ。

体感的には100キロ以上は出ている筈だ。その証拠に、右折左折の度に、キキイキー、キキィ〜〜キーと、ブレーキ音がして、タイヤの焦げる匂いがすると同時に、私とモモエは外に放り出されないように、両手両足で踏ん張る。

だが運転手のドルジェは、インドの軽快な音楽に耳をやり、ノルブと大声でおしゃべりに余念がない。

後部座席の我々に対して一切の、デリカシイはない。ノルブは完全にチベット人に戻ったのである。

おぉー、見よ!「これがインドだ」パート2は、23時41分に発見した。

インド人の中にも「菅原文太」や「ころがし涼太」が居るらしく、デコレーションしている大型トラックがある。車自体は相当古いが、インド風?に、ピカピカ、派手派手にケバ立っている。バッテリーを大量投入して、2メートルを超えるキャンドル状のデコレーションを輝かせている。しかも6本もだぁ。

そしてそれらの灯りに夜光虫が群がるように、多くの人が幾種類もの楽器を持って集まってくる。すでに演奏し始めたグループもある。勿論、すでにアルコールは大量に身体の中に入っている連中ばかりだ。

「え?これは結婚式?」インドの結婚式は、深夜の24時から始まるのだ。最低三昼夜は続くらしい。まさに見よ!「これがインドだ」。

私達はその後、小1時間近く、右に左に、上に下に、狭い車の中で揉みに揉まれた。

皮を剥かれる小芋の気持ちが、良ーく理解出来たです、はい。

タイトルとURLをコピーしました