南インドのタシタルギェ僧院から総勢15名のチベット僧が京都に来訪し、去る6月10日(日)に開催された「ダヤンウルスのクリルタイ」でチベット僧院での伝統的儀式と宗教舞踏「チャム」を披露してくれました。

来日メンバーのリーダーはニューデリーにある「チベットハウス」館長のラマ・ドブン・トゥルク師です。
宗教舞踏「チャム」とは何なのか、ここでちょっと解説しておきますね。

仏教を攻撃する悪霊、外敵の中には、普通の穏便な手段では制圧出来ないものが存在します。
このような場合には、仏陀やその眷属は慈悲心をその心の内に秘めながらも、外観は相手をひるませるような、凄まじく恐ろしい忿怒相を帯びて制圧にあたることがあります。
刀を手にしたチャム(宗教舞踏)の演者は輪をつくり、その中に悪霊を呼び込み、次第に輪を狭めながら旋回して、ついにはそれを封じ込めてしまいます。
世界を悪霊から守るとともに、危害を加える悪霊をも慈しみの中で解脱の道へと導く。これが宗教舞踏チャムの最も重要な主題なのです。
悪霊や外敵で象徴されてはいますが、言うまでもなくそれらは実は我々自身の内に潜む悪しき煩悩なのです。

仮面舞踏の演目は数多くありますが、中でも有名なものは、今回の公演でも披露された「シャナク」と呼ばれる黒帽の踊りでしょう。
演者の僧は、絢欄たる緞子の衣装を纏って、黒帽を冠って踊ります。
下半身に吊り下げている前垂れには、まん中に巨大な忿怒尊が描かれていて、その周りは髑髏面や金剛杵で縁取られています。

ドゥルダ(骸骨)の踊りも大変ポピュラーな演目です。
仏道修行者は、昔から瞑想の場として好んで火葬場や墓場を選んで修行しました。世の無常を悟るのに、最も相応しい場所がこの墓地なのです。
ドゥルダとは、その墓所を守る墓守りです。インドチベットの密教系マンダラの外周にはたいがい屍体や骸骨が散乱し、それらを喰らう獣たちの姿のみられる墓場の状況が描かれます。
墓地を守るドゥルダはマンダラ全体つまり仏の世界をその外敵から守る護法の役目も果たしているのです。
烏の面や鹿やヤクの面を付けて踊る踊り手とともに印象深いのはその音響です。

ラグドゥンと呼ばれるホルンの太い響きやシルニェンと呼ばれるシンバルの音そして太鼓の音はお腹の底に響く強烈な印象を残しました。

それにしても見事なパフォーマンスで、大満足でした。
僧侶達の目的であった「千仏堂建設の為の募金」も皆様の絶大な御支援のお陰で、10日と11日の二回の公演あわせて、103,350円が集まりました。僧侶の皆さんに託してインドに届けさせていただきました。
お名前を控えさせて頂いた施主の皆様にはのちほど礼状をお届けさせていただきます。
本当に有難うございました。
