中甸旅行記(エンドウスミエさん)

中甸へ旅行されたエンドウスミエさんの旅行記です。


中甸へ行ってきました。

中甸(ジョンディエン)は、中国雲南省迪慶チベット族自治区の州都で、チベット高原の南東部にあたります。標高は3276mもあるので、昆明から飛行機便もありますが(4月から四川省・成都からも中国西南航空の定期便が飛ぶとのことです)、直行すると高山病になる可能性が高く、まず観光地として有名な大理か麗江に行って一泊して行くのが無難です。(ちなみに私の好みから言いますと、大理よりは麗江がお勧めです)

そして大理または麗江から中甸へは、絶対、早朝発のバスで行くべき!(大理からだと所要時間約9時間)とにかく車窓から見える景色がすばらしい!

エメラルドグリーンの小中甸川、緑の畑とコントラストをなす満開の桜にそっくりなリンゴの花、針葉樹の森、その背景に白い壁のようにそそり立つ玉龍雪山(5596m)・・・、乗っているボロバスさえ無視すれば、ここはスイスかと見まごうような美しく雄大な風景が続きます。そして玉龍雪山が見えなくなると、次は哈巴雪山(5396m)の山並が目の前に現れるのです!

こんな素敵なバスの旅が、たったの50元(約700円)!これは乗らないテはないです。 (ただし必ず右側の座席をゲットすること)

中甸の市場

中甸ですが、高地で、僻地で、少数民族が多数を占める、と聞くとなんだか経済的に貧しいのではないかと思ってしまいます。

確かに町の南側の旧市街には、いまにも崩れそうに傾いた味のある木造のボロ家が並んでおりますが(笑)、中甸は経済的には恵まれていて、実はそれを支えているのは日本相手の松茸産業なのであります。

松茸長者も多く、そのため町自体は小さいにもかかわらず、市場で売られている野菜や果物は種類も豊富で、百貨店もいくつかあります。町はずれに行くと大きな一戸建てが目立ちますが、それらはすべて松茸御殿だそうです。

大亀山公園の御本尊

迪慶チベット族自治区の州都というだけあって、中甸観光のメインは、なんといってもお寺です。

ちょっと観光化されていて悲しい蔵経堂、大亀山公園にある僧侶一人が管理するこじんまりした寺院、旧市街の裏山にある鶏の走り回る北鶏寺(ここから中甸を囲む高い山々が望める)、そして必見の雲南省最大のチベット仏教寺院・松賛林寺。

松賛林寺はダライラマ5世によって建てられた由緒ある寺院で、町から離れた場所に、まるで荒野に浮かぶ島のような感じで建てられており、見るからに俗世間と一線を画しております。

僧侶の数が多いので、暇そうにしているお坊さんも少なからずおり、チベット語で話しかければ大歓迎されること間違いなしです。

境内のあちこちでは拡張工事が進行中で、松茸長者の寄付金によるのか、政府の援助によるのかはわかりませんが、財政的になかなか潤っていそうです。

しかし聞く所によると、ここからバスで二日かかる理塘にあるゴンパは、もっとすごいとか。今回はそこまで行けなくて残念。次回こそ!

松賛林寺

こうしてお寺だけ見ていると中甸は立派なチベット文化圏なのですが、町中では僧侶と一部のお年寄り以外に民族衣装を着ている人が少ないので、見た感じはそれほどチベットしてません。

それらしいことといえば町のカセット屋がチベット語のポップスをガンガンかけていることぐらい。チベット服を売っている店もあることにはあるのですが、なぜか舞台衣装のようなド派手なコスプレ系がほとんどで、普段着のチベット服というものをあまり見かけませんでした。

またチベット料理が食べられる食堂もなく、「チベタン・カフェ」という名の店は。西洋人相手の洋食屋でガッカリ。チベット族の経済発展のためにも、今後はカトマンズあたりに学んで、美味しいチベタン・レストランとセンスの良い土産物屋を増やして欲しいものです。

町を歩いて「こうしてどんどんチベット人も中国人化していくのかなぁ・・・」と少し寂しく感じていたのですが、その後、現地のチベット人と話をする機会があり、見かけはともかく、彼等の心の中にはチベット人のアイデンティティーともいうべきチベット仏教への信仰がしっかりとあることがわかり安心ました。

周囲に中国人がいなければ、「あの方」の話題を持ち出す人も少なくなく、中甸のような僻地のチベット人は、ある意味、共産党の規制でがんじがらめになっているラサよりも言いたいことが言える雰囲気があるように感じられました。

また中甸からさらに奥地に行った日本人の情報によりますと、そこでは、ドでかい毛沢東のポスターの横にちっちゃな「あの方」の写真が飾られていたとか。

中央政府は法輪功対策に忙しく、雲南の田舎にまでは、さすがに手が回らなくなってきているみたいです。

中国もいいかげん「あの方」への一方的な批判を辞めて、実情に合った新しい対応を考えた方が合理的だと思うのですが・・・、やっぱり一度徹底的に批判してしまうと「面子」があって後には引けないのかなあ?

今回の旅行を通して、次世代のチベット文化の新しいムーブメントは雲南や四川のチベット族から生まれくるのではないか、という気がしてきました。

チベット旅行というと、だいたい皆ラサに行くわけですが、チベット自治区だけがチベットではありません。中央が閉塞状況にあるだけに、辺境から見えてくるものや発生してくるものも、またあるのではないかと思う次第です。

というわけで、「チベットを旅したい!」と考えている方、ぜひ雲南、四川も視野に入れてみてくださいな。

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