1173)出版について色々と勉強してみるって話(3)

出版関係

まいどです。

全国で猛威を振るってるインフルエンザ。

多分に漏れず、我が家では先々週の水疱瘡に続き、娘がインフルエンザにかかってしました。

本人は意外とケロっとしてるようですが、ずっと付きっきりのカルのストレスが心配ですねぇ。

そんな感じで、明日はボクが仕事を休んで娘の看病(というか、自宅で遊ぶ?)って感じの清水です。ハラポロガ。

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さて前回、前々回と、「書籍の流通の仕組み」と「書籍を作る仕組み」について調べてみました。

そして普通に思ったのが利益率を上げないと出版社をやっていくのは難しいんじゃない?ということです。

一般的な出版社の場合、書籍の売上は取次(出版社が卸してるとこ)から入ってくるわけですが、書籍を卸したと同時に入金されるわけではなく、半年以上のタイムラグを経て入金されます。

入金されるまで会社の運転資金がありませんので、出版社は自転車操業的に何冊もの書籍をどんどん出すことでお金を回しているそうです。

資金力がある出版社だったらともかく、小さな、特に個人でやってる出版社だとそんな運営方法はなかなか厳しいですねぇ。

さらに返品の問題。

返品ができるという制度は出版業界にとっては非常に重要な制度だと思いますが、返品された書籍というは汚れたり、焼けたり、折れたり等々、修復できないものが廃棄になる可能性も高いです。

グラ猫の場合は布物がほとんどでしたので、同じような状況だと廃棄もしくは自己利用ってことになるんですけど、まぁ大変悲しい想いをしました。

そこで、利益率を上げて返品をできるだけなくす(できればゼロにしたい)にはどうすれば良いか。少ない脳みそで考えるに取次を通さず直売で売るという方法しか思いつきませんねぇ。

取次を通さないということは、全国の書店に本が陳列されないということ。

全国の書店に本が並ばないということは、人の目に触れにくいってことで売上の底辺が広がらないってこと。

そこで「売上の底辺が広がらないんだったらたくさん売れないじゃん」ではなく、「売上の底辺を狭めるけど、買ってくれそうな人に売る」という方法で良いんじゃないかって思うのです。

不特定多数の人にアプローチして1,00冊も2,000冊も売るのではなく、特定少数の人にアプローチして300冊くらい売って利益を出そうじゃないかって作戦なわけです。

大変昔の話なのでよく覚えてないですけど「特定の市場における自社の立ち位置として、自社が一番(もしくは上位)に位置付けるくらい市場を細分化していく」という考え方があるって、何かの本で読んだ気がします。

つまり、出版する本のジャンルを徹底的に細分化することでピンポイントの読者にアプローチして利益を出せないか、ということです。

市場が狭いため全国紙などを利用する必要もなく(ないとは言い切れないけど)、同じ広告宣伝費を使うにしてもピンポイントな媒体を効果的に利用できるんじゃないかと思うのです。

全てが全て直販にすることは難しいとは思いますが、前回の本の定価の内訳グラフでいうところの「33%(卸先・販売先へ)」という部分が自社の販売経費として使うことができますので、経費の利用としても合理的になるかと思うし、利益率が上がるため定価自体を下げることに繋がるんじゃないかと思います。

そこで思いついたのが学術分野

学術的な分野なら多少高くても必要だと見なされたら買ってくれるだろうし、分野が細分化されればアプローチの仕方もかなりピンポイントになるハズです。

ただし、学術的な分野で本当に書籍が必要かどうかが問題です。

というのは、ボクが学生だった時代は当然書籍とかを買ったり借りたりコピーしたりして勉強したわけですが、現在はネットの利用が当たり前。当時とは研究方法がかなり変わってるかと思います。

そこで、当時のボクの指導教授に連絡して「現在の研究職の方々の研究方法は、昔と比べてどのように変わりましたか?」ということを聞いてみました。

先日、先生から返事が来たので簡単に箇条書きにしてみます。

  1. まず大きく変わったのは、原典資料の写真データが驚くほど簡単にダウンロードできるようになったので、どこかの図書館に請求したり取りに行ったりすることが無くなった。(先生の研究分野の)文献に関しては、ほぼすべての文献がオンラインで手に入る
  2. 同様にデータベースが完備されてきているので、先行研究は居ながらにしてデータでダウンロードできる。プリントアウトすることさえ少なくなった
  3. 書籍も古書が(アマゾンを利用して)アメリカの古本屋さんから1週間もあれば届くので買いすぎる。論文集なんかで電子書籍のみの販売もある
  4. 退職する先生が書籍を寄贈しようとしても、どの研究機関も欲しがらない。保存場所のことを考えたら、正直いらない。
  5. 論文などの抜き刷りもほぼなくなりつつある。少し前は、雑誌を発行するところが抜き刷りをPDFでくれてそれをメールで配布していまたが、データベースが完備されてきたのでそれさえしなくなってきた。
  6. 論文が出て、もし読みたければダウンロード。自分の論文も他人の論文もこの作業だけ。紙印刷しない研究雑誌もたくさんでてきた。
  7. 美術出版はまだそれほど影響は受けていないようなので、このあたりが狙い目かも知れない。しかし、ものすごい高細度の世界になると権利のガードが高くなるし、小規模な会社には手がだせない莫大な商売の世界になると思う。

とのことでした。

学術の世界で他の人の著述が必要になるのは論文や資料等であり、それはつまりリアルな本の体裁をとってなくても問題はない、むしろ電子版の方が入手が速かったり場所を取らなかったり等々メリットがある、ということのようです。

なるほど。

学術分野に特化した出版社を考えた場合、電子書籍の方が上手くいく可能性は高いってことか・・・。勉強になるなぁ。

手段と目的がちょっとゴッチャになってきたので少しまとめてみます。

本を出すということは仕事としてやっていけるかどうか?

利益率を上げれば何とかなりそう

利益率を上げるには、取次を通さず直販で扱う

全国の書店に流通せず読者層が狭くなるので、狭い層に絞った書籍を販売する

学術的な分野の書籍ならいけるんじゃない?

しかし学術分野ではリアル書籍よりも電子媒体の方が利用価値が高い

学術分野の出版社だと電子媒体を検討したほうが良い

ということになりますでしょうか。

ただ、出版社として上手く立ち回るために学術分野という狭い読者層を想定したのであって、電子媒体にするのであれば取次を通す必要性がなくなるため狭い読者層を考える必要がないんじゃないかと思います。

んもー、何がなにやらさっぱりです。

とりあえず、学術分野での出版というものがすぐにめどの立つものでないことを理解できたので、出版に関してはぼちぼち考えて行く方向にしたいと思います。

まぁ、そんなところ。

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